6日目 最終日
家に帰ると決めたこの日、いつもより早く目が覚めた。
そして早起きした分を差し引いても、いつもより撤収、出発が1時間近く早かった。
さて、その理由はなんでしょう。
- 朝も早よからガキ共が大騒ぎ。結果早起きしてしまった。
- 周りの単車乗りが次々と出発してしまうので、少し焦った。
- 実は夕べ煙草を切らしてしまい、とっとと出発して煙草を買いに行きたかった。
- そして、煙草を吸いながらボーッとしている時間がない分、早く撤収作業が終わった。
答えは、全部(笑)。
それはさておき、最寄りのコンビニで煙草を購入。
家人に土産を買うためには、ケース内に場所をつくらなければ…というわけで、洗濯物を宅配便で家に送る。
そして、ゴミ捨て。
いつも悩んでいるのだが、同じようにツーリングしている皆さんは、ゴミをどうしているのだろう。
大概の道の駅やコンビニには”ゴミは持ち帰りましょう”だの”家庭ゴミおことわり”だの書いてあると思うのだが。
私は、迷いながらもコンビニや道の駅で捨てさせていただいている。
それなりの金額の買い物をするのも忘れない。
具体的には腐らないものをということで、煙草を買う。
私は1日20本程度の煙草を吸うが、その倍の40本分の煙草を買う。
それと缶コーヒーかなんかを買って、だいたい千円程度。
これでゴミを捨てさせてくださいな…ってのが基本的な考え方。
だからツーリングを続けると、トップケースに煙草が貯まる貯まる。
だからといって油断してると昨夜のように突然の煙草切れって事になるのだが、それは別の話…。
どれだけの単車乗りがこのブログを読んでいてくれているのかわからないが、敢えてここで提案してみる。
コンビニ、道の駅共通のゴミ捨て券なんてどうだろう。
分別するのは当たり前。1日100円程度までなら払ってもいいと思うのだが。
私には、何処に提案するのが一番いいか全くわからないので、アイデアのある方は是非コメントをお願いします。
さて、今日は家に帰るわけだが、ずっと山の中を走ってきたので最後に海沿いを走りたくなった。
県道12号線から国道4号線、そして国道6号線と走り繋ぎ、海辺を走れるルートを探す。
ところが、なかなか海辺に出られない。
ある場所は巨大な防波堤が視界をふさぎ、別の場所は工事で通行止め。
他にも津波の傷跡がそこかしこに見受けられ、へこみそうになるが、走り続ける。
そんななか、突き当たってしまった通行止めの箇所。
しかたなくUターンを試みていると、柵の向こうから地元のおじさんがやって来た。
引き返そうとしている私に、どうせ100m程しか行けないが、工事をしている場所を是非覧て行ってくれと仰る。
おじさんは何を見せたかったのだろう。
復興が進んでいる様子が誇らしかったのだろうか。
言われたままに工事現場を眺めながら、暫く考え込んでしまった。
その後もあと一歩というところで海に辿り着けない。
もう諦めて、とっとと高速に乗って帰ろうかと思っていたら…
やっと海に出れた。
ここは原町火力発電所のすぐ隣。
さすがに泳いでる人はいなかったが、サーファーはいた。
右端に映り込んでいる黒い物体は除染のゴミのような気がするが、気にせず暫くボーッとしていた。
ボーッとしているうちに、だんだんハラが立ってきた。
津波は天災だ。ある意味しょうがない。
だが、津波だけだったら海はきれいなままに残っていたはずだ。
泳げない海をつくったのは誰だ。住めない街を拵えたのは誰だ。
原発か…とも考えたが、違うだろう。
現に同じように津波の被害を受けた東北電力の女川原発は安全に停止し、それどころか近隣住民の避難場所にさえなっていたではないか。
つまり、これは人災だ。もちろん加害者は東京電力だ。
いてもたってもいられなくなってきた。
こうなったら、先日クルマだけは通れるようになった国道6号線を行けるところまで行って、原発に向かって中指の1本でも立ててやらないと気がすまない。
6号線を南下するにつれ、帰宅困難地域であることを示す看板が目につくようになってきた。
どこから2輪立ち入り禁止なのかわからないまま走っていた。
気がつけば、道路沿いの民家を含めた建物には人の気配がなくなり、クルマの運転手が訝しげに私を見るようになってきた。
そろそろ潮時かも知れない。明確に立ち入り禁止区域というのが区切ってあればいいのだが、そうでない場合、下手に入り込んでお巡りに絡まれるのも面倒だ。
地図で確認すると、福島第一原発まで直線で10Kmを切っている。
ここまでと判断し、浪江町の結婚式場の駐車場にバイクを止める。
iPhoneのコンパスで方角を計り、原発の方向に向かって思いっきり中指を立てる。
これで気がすんだわけではないが、そして、こんなことをしたところでなにが変わるわけでもないのは重々承知。
馬鹿な奴だと笑ってくだされ。
さて、これで気がすんだわけではないが、家に帰ることにする。
高速に乗るには…とナビを確認したら、とんでもないことに気がついた。
常磐道に乗るには6号線を引き続き南下しなければならない。
西に走って東北道を目指そうとしたが、主要な道がほとんど工事中で走れない。
結局6号線を20Km近くも引き返し、南相馬市内で西に折れ、東北道を目指すハメに…
東北道を爆走して自宅にたどり着いたのは22時。
意地を張ったせいで、ヘトヘトに疲れてしまった。